篠田研究室 篠田研究室 中央大学理工学部電気電子情報通信工学科
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マルチホップ無線ネットワークの研究
携帯端末(携帯電話、PHSなど)による移動情報通信サービスは、目覚しい発展と普及を遂げ、社会の高度情報化に不可欠なものになりつつある。今後も、新機能付加を含めた携帯端末の機能向上に向けた種々の技術開発を続けながら、より良い移動情報通信ネットワーク環境が整備されて行くことになろう。しかし、ネットワーク提供企業にとって必ずしも直接採算に結びつかないものもあり、従来の考え方、開発方式では対応できなくなりつつある。その一つがマルチホップ無線ネットワークである。
このマルチホップ無線ネットワークは、相互に非常に近い範囲(半径100〜200m程度)に存在する複数の任意携帯端末の間で直接通信することや、二つの端末が他の端末を中継して通信する(どの端末もルータの役割機能を持つ)ことを可能にし、公衆ネットワークサービス域でもそれを使用しないで、複数端末相互間で情報通信を行うネットワークである。これは、ローカルに自動的に組成・変形・消滅を行うもので、無線ネットワーク組成では解析接続的に(インターネット的に)接続範囲を広げるもので、情報化社会を活性化させる要因となろう。公衆ネットワークとの共栄と法制度の問題を含め、検討すべき課題が多いが、将来のネットワーク発展の方向を示唆するものである。
本プロジェクトは、我々プロジェクトグループがこれまで研究推進してきた「マルチホップ無線ネットワーク」を中心に、その研究を発展させ、基本特性の解明から、ネットワークアルゴリズム、通信プロトコル設計、端末機能のトランシーバモードの機能改良・向上まで、シミュレーション実験を行いながら、理論ならびに技術開発の研究を行う。また、公共ネットワークの位置登録サービスの利用、多層都市空間の地理情報の利用、公共ネットワークとの関係も研究する。
1999年度から私立大学等経常費補助金特別補助「新技術開発研究」を受けている。


Bluetoothを用いたマルチホップ無線ネットワークに関する研究
近年,ユビキタス社会の実現に向けて,携帯電話網と無線LANで埋め尽くすことができないニーズに対応する無線PANに注目が集まっている.無線PANは,人間1人が自分の直接的な活動を示す範囲といわれる数十m四方をカバーすることを想定し,IEEE802.15委員会で標準化が進められている.この中の主要な無線通信規格として,Bluetoothが挙げられる.Bluetoothは,1990年代前半にEricssonで研究が進められた無線通信技術であり,現在では,Ericsson,Nokia,IBM,Intel,東芝の5社を中心とするBluetooth SIGにより仕様の開発・標準化が進められている.Bluetoothは,モバイル端末とその周辺機器間とを接続するための規格として検討され,物理的,論理的な仕様を規定したコア仕様と,その上位における情報のやりとりを規定するプロファイル仕様から構成される.また,2006年3月,Bluetooth SIGはWiMedia Allianceの超広帯域無線(UWB)規格「MB-OFDM」を現行のBluetoothに統合すると発表した. これにより,Bluetoothは大容量データ高速伝送に対応可能となるため,今後の無線PANの開発・標準化において,中心的な規格となることが予想される.Bluetoothを用いた通信では,通信半径内にある端末でピコネットと呼ばれる基本ネットワークを形成する.しかしピコネットでは,同時通信できる端末数に限りがある.今後,無線PANを構成する端末数は大幅に増加することが予想される.そこでピコネットを相互接続し,スキャタネットと呼ばれるネットワークを構築することでトポロジを拡張させる.しかし,スキャタネットには,そのトポロジ,ピコネット内制御(ポーリングスキーム),ピコネット間制御(ブリッジスケジューリング),ルーティングにおいて検討の余地が数多く存在し,未だ実用化には至っていない.このような現状を踏まえ,以下に今後予想される無線PANの形態に適応可能なスキャタネットの要件を示す.
 ■ マルチホップ環境を想定すること
 ■ トポロジ・制御を考慮した複合的なプロトコルで構築されること
 ■ 完全自律分散型であること
 ■ 端末が離脱・加入する動的な環境を想定すること
 我々は,以上のような要件を満たすスキャタネットの実現を目的とした研究を行っている.



マルチホップ無線ネットワークにおけるルーティングプロトコルに関する研究
実際のコンピューターネットワークでは,絶え間なく送られてくるデータ(パケット)の行き先を「経路表(ルーティングテーブル)」を用いて振り分けている.パケットが自分の端末に届いたとき,それが自分宛なら受け取るが,そうでなければ経路表を見て,宛先に適した端末へ転送していく.これをルーティングと呼ぶ.
端末が絶えず移動する環境下では,端末の移動に伴うリンクの接続,切断情報を定期的に経路表に反映させる仕組みが必要となる.この仕組みを「ルーティングプロトコル」と呼ぶ.
 アドホックネットワークでは,端末の移動特性,端末の密集の度合いなど,さまざまな環境の違いによって,最適のルーティングプロトコルは異なってくる. IETFのMANET WGでも,さまざまなルーティングプロトコルが考えられており,それぞれに長所短所がある,ほとんどは「Reactive」か「Proactive」のどちらかである。それらのの特徴は以下である.
Reactive
Reactive型プロトコルは,実際にデータを送信する際に初めて起動する.起動したルーティングプロトコルは,周りにある通信可能な端末の電波を送受信して確かめ,ルート構築を行う.ルート構築に多少の時間がかかるため,通信が開始されるまで待ち時間があるが,ネットワークへの負荷,電池効率の面を考慮すると有利である.さらに,必要時にのみルート構築を行うため端末への負荷が少ない.
Proactive
Proactive型プロトコルは,任意の時間間隔ごとにルーティング可能な端末を確かめており,常にルートが構築され通信可能状態となっている.電波発信を頻繁に行うためネットワークへの負荷,電池効率の面を考慮すると不利であるが,即座に通信を開始でき,常時ルート確保により通信タイムアウトや送信データのロスが少ないという利点がある.
 現在、さまざまなルーティングプロトコルが考案されているが,どれも固有の問題を内在し、オールマイティなプロトコルはない.ルーティング班では、固有の問題を明確にし、できるだけこの欠点を補完する状況アダプティヴなルーティングプロトコルの開発に挑戦している.



複数パスに特化したルーティングプロトコルに関する研究
アドホックネットワークにおいて様々なルーティングプロトコル(経路探索手法)が提案・検討されている.その中で、マルチパス班では,送信元端末と宛先端末との間で複数の経路を構築・維持を行うマルチパス(複数経路)ルーティングプロトコルに関して研究を行っている.アドホックネットワーク環境においてマルチパスを用いてデータ送受信を行うことで以下のような利点を有する.

負荷分散
 データを複数の経路で分割して送信することにより,ネットワーク上に存在する各端末間におけるリソース提供の不平等の緩和,ネットワークリソースの有効活用が可能となる.
経路切断時の高い適応力
データ通信に用いられている経路上の中継端末に,宛先端末までの予備経路を複数本保持させる.これにより,通信経路においてリンク切断が発生した際に,即座に経路修復を行うことが可能となる.
データ送受信の信頼性向上
 同じデータを複数の経路にそれぞれ送信することにより,データ送受信の信頼性を向上させることが可能となる.
このような利点を生かすためには,アドホックネットワーク環境にフレキシブルに適応するルーティングプロトコルの開発が必要である.そこで,マルチパス班では以下の設計図を立案している.
これまでの研究で,状況依存 最短複数経路を構築するプロトコルの開発に成功した.今後は,ミドルウェアの開発や,負荷分散,安定度等を考慮した経路を構築するプロトコルの開発を目標とし活動を行う.



新世代移動通信システムに関するプロジェクト
(独立行政法人 情報通信研究機構 無線通信部門 ワイヤレスアクセスグループとの共同研究)
現在,2001年9月に発行されたe-japan重点計画の一環として,複数の有線,無線システムをIPネットワークを介してシームレスに接続可能し,ユーザはそれを意識しなくとも,ユーザのニーズに応じた通信システムが選択可能なシステム:新世代モバイル通信システムの研究開発が行われている.
このような通信システムを実現するためには,(a)現在商用サービスが行われている第3世代移動通信システムを遥かに上回る情報伝能力を高い周波数利用効率で実現し,(b)IPネットワークへの容易な接続性を実現し,且つ多数の無線ユーザを同時に収容可能である,セルラー通信システムが不可欠である.
独立行政法人情報通信研究機構(National Institute of Information and Communications Technology : NICT)の無線通信部門 ワイヤレスアクセスグループにおいて,このような条件を満たすシステムとして,DynamicParameterControlled OF/TDMA(DPC-OF/TDMA)が提案され,我々はこの通信システムの研究を神奈川県横須賀市にある横須賀リサーチパーク(YRP)内で共同研究として,行っている.
現在(2004年9月),DPC-OF/TDMAの研究については,その物理層,MAC層についての包括的な研究が行われている.物理層には,直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)伝送技術が用いられ,(a)高速移動環境における高品質通信,(b)特に上りリンクで問題となる同期方式の検討,(c)更なる使用周波数帯域の有効利用を目的として,隣接セルでの周波数の繰り返し利用を実現するための研究,(d)環境に対し柔軟で大容量のシステムを実現するため,適応変調技術,MIMO伝送技術などを組み合わせる方法,について研究を行っている.
またMAC(Media Access Control)層には,予約型ダイナミック時間スロット多元接続方式(Packet-Reservation-Dynamictime-SlottedMultipleAccess:PR-DSMA)という,Slotted-Alohaベースの予約型プロトコルを特徴とするTDMAシステムを採用しており,Access point(AP)で輻輳が発生した場合においても,その輻輳を緩和するような最適なスロットの割り当て,及び通信チャネルの割り当て等,多様なトラヒックに対しても柔軟に対応可能な割り当て方法について研究を行っている.


災害時における携帯電話の輻輳制御の研究
独立行政法人 情報通信研究機構 情報通信部門 情報セキュリティ推進室 岡田和則博士との共同研究)
現在一般に普及した携帯電話は、普段携帯していることから災害時の通信手段として非常に有効である。一方、地震等の大規模災害が生じた場合、安否確認等によるトラヒックの急激な増加が生じる。平成15年5月に起きた宮城県沖地震では、通常の30倍のトラヒックが東北地域で生じた。このような状況下では、携帯電話網の有線区間および無線区間が輻輳し、回線を割り当てられず多くの呼損が生じてしまう。特に、無線区間は有限な周波数資源を用いている為、容量の確保が困難である。
そこで本研究では、大規模災害等に起こるトラヒックの急増による輻輳状態に注目し、ネットワーク的な制御により、有限な周波数資源を効率よく利用しなるべく多くの通信を実現する技術を研究している。


グラフ・ネットワークによるモデリングに関する研究
グラフやネットワークの問題としてモデル化される問題が多々存在し、これまで種々解決されてきた。しかし、未解決の問題も解決された問題の数以上に残されているといわれる。この研究では、残されているいくつかの問題について、モデリングも含め、解法開発を試みる。


GIS(地理情報システム)に関する研究
携帯電話などの電波伝播をCGを用いて解析する。情報工学科の牧野研究室と電気電子情報通信工学科の白井研究室との合同で研究を行っている。




その他外部研究室で上記に関連する研究を執り行っている。
郵政省(横須賀リサーチパーク)や東京大学での研究となる。



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