電源班の研究内容


 電源班は主に電流制御・高速スイッチング・高効率DC-DCコンバータの研究を行っています。
また、その他の研究内容としては、最近話題のディジタルアンプの製作や、ΣΔA/Dコンバータ、チャージポンプ型DC-DCコンバータの研究も行っています。

PWM方式・電流制御DC-DCコンバータ

 近年、携帯電話などのモバイル端末は、リチウム電池等の電圧(3.7V等)をLSIの動作電圧(2.5V等)に変換する必要があります。電池を長持ちさせるためには、電圧変換時のロスを小さくし、効率の良い直流-直流変換(DC-DCコンバータ)回路が必要となります。
 右図は、PWM( Pulse Width Modulation )方式・電流制御DC−DCコンバータの図です。電流制御方式は、従来用いられている電圧制御方式に新たに電流帰還を施します。右図で青色に示した「電流検出」及び「スロープ補償」が電流帰還部となります。

電流制御の特徴は、
@ 高い周波数応答が得られる
A 帰還ループの補償が容易だが、スロープ補償が必要
B 回路の解析が困難
が挙げられます。

 電流制御での安定性及び帯域はスロープ補償係数によって決まります。 よって杉本研究室では制御ループの詳細な解析を行い、安定性の高い2次のスロープ補回路を採用しています。これにより、広い入力/出力電圧範囲において高い安定性が得られています。
 また、「発振器」部分には容量を使用した損失の少ない構成を用い、「リファレンス電源」部分には抵抗比により出力電圧が設定可能なバンドギャップリファレンス電源を使用しており、両回路とも特許を取得しています。

電流制御DC-DCコンバータ


試作したチップ写真


Gm-Cローパスフィルタ

 ローパスフィルタはDVD やHDD 、携帯電子機器の構成要素として盛んに用いられ、近年では、高周波での動作が可能なローパスフィルタが求められています。
 Gm-Cフィルタは電圧電流変換回路(OTA)とキャパシタによりフィルタを実現します。右に示すブロック図は2次ローパスフィルタを表しており、これと1次フィルタを接続することにより高次のフィルタを設計することができます。
 本研究では高速・低電圧・低歪のフィルタを実現するにあたり、入力に抵抗を用いた電流モードのOTAを設計しました。電流モード方式は低電圧動作を可能にする方式ですが、変換の際に歪みを生じてしまうという問題があり、フィルタの精度を劣化させてしまいます。そこで、線形な抵抗を電流モード回路と組み合わせて電圧-電流変換を行うことで、フィルタの線形性を改善させる回路技術について提案しました。
2次フィルタブロック図

試作したチップ写真

ΣΔA/Dコンバータ

 ΣΔA/Dコンバータは、ΣΔ型変調器により入力電圧を1ビットで量子化し、時間情報をもつビット・ストリーム信号に変換するA/Dコンバータです。これをディジタル・フィルタで処理してディジタル値を出力します。
 近年、素子の微細化が進み、電源電圧の低下が急速に進んでいます。これにより、アナログ回路においては扱える信号振幅が小さくなり、精度が確保できなくなるという問題が生じています。したがって、できるだけアナログ部を削減した構成をとることが望ましいと考えられます。
 杉本研究室では積分器にアンプを用いず、スイッチとキャパシタのみで構成するPassive型の回路構成をとることによって、高速・低電圧動作が可能な回路の研究を行なっています。
 右の図は、試作したPassive型ΣΔA/Dコンバータのチップ写真です。電源電圧1V、クロック周波数100MHzでの動作を確認しています。
Passive型のブロック図


試作したチップ写真

This is Sugimoto Lab. Status: 2007-10-26 update