Yasuhiro Sugimoto


杉本 泰博  長崎東高校出身。今でも実家は長崎にあります。九州の人はどうせ出るなら関西ではなく東京に、という傾向があるようです。安田講堂占拠事件で入試がつぶれ、同じ東京ですが行き先が変更になりました。東京工業大学工学部 電気工学科卒。大学では空手に熱を入れ(和道流という流派)、初段を取りました。
 中学時代から趣味でやっていた電子回路設計がやれる会社、(株)東芝 半導体事業本部に入社してアナログICの設計を始めたのは1973年です。 当時のICの規模は200〜300素子位でしたが、今でも最先端と言ってもおかしくないような、1.5 V動作PLL ICを設計し、これが海外でも好評を博すなど、楽しい思い出が一杯です。
 会社から米国ミシガン大学大学院に留学し、CAD技術を学びました。SPICE(回路設計用コンピュータシミュレーションプログラム)を流すのに会社ではバッチ処理でやっていましたが、ミシガン大学では既にインタラクティブに出来るようになっていて、驚きでした。 帰国後、TV、オーディオ、通信用LSIの先行開発を担当しましたが、海外との共同研究開発だけでなく、技師長など上司と共に渡航し、実際に海外の 主要メーカーに我々の技術を紹介する、あるいは売り込む、事も頻繁に起こりました。このような場合技術者は会社の代表なんですね。なおこの間に、技術士 (電気・電子部門)、工学博士の資格を得ています。1991年〜1992年の間には、米国シリコンバレーのベンチャー企業と共同研究を行っていたので、サ ンタクララ市に住んでいました。カルフォルニアはとても住みやすいし楽しい所です。
 1992年7月より現職(中央大学教授)です。東芝での後半は、高速バイポーラあるいはバイCMOSのLSI回路開発を行っていましたが、大学で は主にCMOS回路技術を用いて、将来必要となる電子装置を実現する研究を行う事としました。最も電子装置の中身はLSIですから、LSI回路の研究をやる事に変わりはありませんが、少しシステム的な見方をするようになっています。高速分野での開発を沢山行なっていますが、研究室の3本柱は1.ADC,DAC 2.高周波アナログ 3.パワーマネッジメント の各分野です。
 歳をとってくると人のお役に立てる事をと考えるようで、昨今は医療分野に関心を持ち始めました。得意の高周波LSI技術を駆使して、人体の中を移動するカプセルや埋め込みチップとの通信、エネルギーの授受の方法を考えてみよう、研究してみよう、と計画しています。
 単行本は3冊書いています。教科書や参考書になっていますよ。現在、もう1冊書いていますが、こちらは08年の春には紹介できると思います。研究室ではかなり頻繁に学生の方と一緒に実験したり討議したりします。LSI回路の良し悪しはやはり実際に動作するのを見て初めてわかるものなので、それを体で感じる事が最も大事だからです。またA-R-TecA−ソリューションというベンチャー企業の顧問(後者は技術士業務の一環)になっていて、実際にも少し設計業務に携わっています。自宅には「杉本技術士事務所」を構えており、A-R-Tecなどと共同して、企業の技術者の教育および日本の回路技術力の向上を目指して各種回路の雛型の設計、などを行なっています。