10月12日はカナダの感謝祭(祝日).アメリカよりも約一ヶ月早いようですが,これも緯度が高く早く寒くなるためでしょうか?先日もUBC内の植物園で Apple Festival なる催しが行われ,2,30種類のりんごの試食会と苗木,果物の販売をしていました.ourin,fujiとか懐かしい日本名のものもあります.中にはyokoなんていうのもありました.日本で人気のfujiはこちらでは日本ほど手をかけないせいか,大粒ではありませんし,蜜もあんまり入っていませんでした.
サケも季節を感じて生まれ故郷の川に戻ってきました.今年は例年に比べてサケの量が多いとか,夏が暑かったせいで水温が高く,上ってくるサケが結構くたばっているとか聞きました.日本でも北海道ならサケが川に戻るところを観察できるようですが,ここバンクーバーではいろいろな川にサケが戻ってくるようです.バンクーバー市内からこうしたサケの様子を見るのに,一番近いのはカピラノ吊り橋のあるカピラノ川の吊り橋から,少し上流にある採卵ふ化場でしょうか.このまた少し上流に,バンクーバーの水源として使うダムがあり,このダムの建設のためか,上流に上れなくなったサケのための産卵ふ化場が作られたのでしょう.サケといってもいろいろな種類があるようで,ここでは2,3種類のサケが時期を少しずつ変えて上がってくるようです.この採卵場では,日本からの観光客が多いせいか日本語の説明もあります.
サケは川で生まれて,海で過ごし,再び川に戻って産卵して死んでしまうと思っていたのですが,サケの仲間には成熟して,産卵してもまた海に戻って何年も産卵をするものもいるようです.この採卵場でみたスチールヘッドという小型のサケの一種(マスらしいが,私はサケとマスの違いがわかりません.)は産卵しても死なないでまた海へ戻るようです.
川を上ってきたきたサケは,1メール以上ある堰で川を上れなくされ,仕方なく魚道に導かれ,採卵場へと導かれます.この魚道はサケが少しずつジャンプしながら上っていけるようになっており,その途中の壁が透明にしてあって,横から,サケが上る様子がわかるようになっています.魚道から見えるサケはたくましくジャンプし,時にはいったん流されながらも最後の水槽へと続きます.どうやらそこで,成熟度をみられて卵を取られるようです.受精後,ふ化した稚魚は水槽で一年程度飼われて川に放流されるようです.
<カピラノ川の採卵ふ化場への魚道の入り口>鼻の頭とかせびれの部分はずいぶん痛んだ痛々しい魚もいっぱいいます.種類が違うので,大きさもまちまちです.
バンクーバー市南部のスチーブストンには小さな Fishermen's Wharf があり,ここでは桟橋に並んだ漁船から,とれたての魚を直接漁師から買うことができます.今の時期サケがたくさん売られています.大量のせいか 腹をぬかれたサケが5ドル,筋子が4ドル/パウンド の超お買い得価格で買うことが出来ます.塩サケが何切れ取れるのかと思わず想像してしまいます.
<魚道の途中の透明な横壁からスチールヘッド(steel head)を見る.>ただ水のきれいな川があるだけではいけないらしく,種類によっては,すぐに川から海へ下るもの,すぐに海に出ないで一年ぐらい途中の湖等で生活するものなどがいるようで,近くに大きな湖があるとかいった微妙な環境が上ってくるサケの種類を変えているようです.
<川を悠々と泳ぐ大型のサケ(coho?)>サケも産卵が近づくと,色が変わり婚姻色になります.カピラノ川のサケも色が少しは変わっていましたが,もっときれいな?のが見たいと,いう方にはウイーバークリークの産卵水路なるところがいいでしょう.私もこちらで教えてもらっていってきました.バンクーバーのダウンタウンから,2時間弱のところにあります.
説明書によると,ここでおもに見られるソックアイ (sockeye)という種類のサケは,人工ふ化率が思わしくなかったらしく,そのためにわざと,産卵に適した石を川底に敷いたり,流れの緩急や段差をつけたり自然環境に近い水路を整備して,そこにサケを誘導して産卵させています.本流から,幅5メートルぐらいの水路を何と3キロぐらいくねくねと作り,その一番上のところから,貯水池に溜めて泥を沈殿させた本流の水を流しています.
このソックアイという種類は婚姻色がとてもきれいです.頭から下の体のほぼ全体がきれいな真紅の赤に染まり,水路には赤いコイが群れているようにも見えます.10月の中旬からが産卵のピークらしく,あまりたくさん入れてもよくないので,水路の入り口で,魚の数を調整しているようで,多すぎると網ですくって氷付けにされてどこかに運ばれています.(意外と日本の食卓あたりにいっているのかも?)
水路に入らずに本流に上るのも結構います.水路や本流の周りには結構の数のウミネコやサギなどの鳥が力尽きたサケをねらっています.本流は結構狭い川幅で,狭いところなど1メートルもないところをサケは上っていきます.どこでもういいと判断しているのか分かりませんが,砂利の川底で,すこしせびれが見えるぐらいの20cmから30cmぐらいの深さのところが産卵に適しているようです.もう既に産卵を終えたサケが力尽きて死に,死臭を漂わせて川に流れているのもいます.産卵期の最後にはかなり臭いそうです.水路で死んだサケは係りの人がモリのようなのでついては集め,まとめて近くに埋めているようです.我々には一見しただけでは同じに見える小川も少しずつ違うようで,よくも間違えずに帰ってくるもんだと感心してしまいます.河口ではぜんぶ一緒になってしまっていながら,その河口を見分け,さらに奥へ進んで,生まれ故郷の支流を捜すわけです.それも河口からすぐの支流もあれば,車でも半日かからなければ,いけないような支流まであり,同じ日に河口にいたのでは,産卵の時期は2,3週間違うのではないかと思うのですが,本能とはすばらしいものですね.いろいろな種類のサケを見ましたが,一番大きなキングサーモンは見かけませんでした.大きくてスモークサーモンにすると油がのってて非常においしいサケです.キングサーモンは日本名をマスノスケというそうです.マスノスケはアラスカあたりであるいは別のおところで,ひっそり繁殖しているのかもしれません.
もっとたくさんのサケの川登りを見たい人は,カムループスというところの近くにあるアダムス川が有名とのことです.ここはバンクーバーから300kmぐらい離れているのに,どうもそこの川もこのバンクーバー市内の川を河口としているらしく,そこにいるサケも太平洋からバンクーバー郊外を通って上っていくようでまったくの驚きです.
<産卵場となっている水路で産卵場所の縄張り争いをしている婚姻色で赤くなったサケ(sockeye)>
「森と海と適度な喧噪,この3拍子がそろった大学UBC,気候も温暖で,冬は少し厳しく日本人には最適,次の在外研究はUBCを希望したいです.過去に,ベルサイユ宮殿近くのINRIA,英国の片田舎で飛行場を有するクランヒールド大学を経験しましたが,英国のオックスフォード大学,ケンブリッジ大学も適度な喧噪が楽しめます.先日の訪問で,食事の良さ,海産物が楽しめる点でUBCが気に入りました.もちろん,研究のレベルはどこにいても自分で作るもの.」
<訪問団の一行.グラウス山の頂上にて>バンクーバーの秋から冬は,雪こそあまり降らないようですが,雨季にはいるそうで10月中旬からは,雨が日本の梅雨のようにしとしと降るそうで,夏の気候から一気に変わって,憂鬱な時期だそうです.
10月31日はハロウイーン.
<バンクーバーの秋の日暮れ.
グラウス山から,海を隔ててバンクーバー島を望む.>
こんな天気が続いたらいいのに....ではまた.