電磁波散乱解析

RCS値を用いた柱状散乱体の形状認識について(理論・実験)
 
   電磁波の散乱特性は,散乱体の局所的な形状や構造に大きく影響を受け,その散乱体の寸法が電磁波の波長と比較して大きいほど,それらの局所形状の散乱特性への影響が顕著なものとなります.したがって,様々な形状の物体に対する電磁波の散乱について物理的な散乱メカニズムを考慮すれば,逆に電磁波の散乱特性から散乱体の形状を推定することも可能となることもあります.そこで,本研究では柱状散乱体のレーダ散乱断面積(Radar Cross Section:RCS)値の周波数領域の角度的な変化や時間領域における数値データを基に散乱体の形状の再構成を行うことを目的としています.
 
 
 
多角柱モデルによる電磁波散乱解析(理論)
   
   近年の移動体通信の発展の中で,自動車などの移動体に対する電磁波散乱解析を行うことは,高度交通システム(ITS)の技術分野の中で,路車間・車々間通信技術などの技術分野に関して重要な問題です.そこで,自動車モデルをはじめとする多角柱状散乱体に対して等価波源法(ESM)による理論解析と電波暗室でのシミュレーション実験を行い,結果を比較することによりESMの妥当性を検証しています.ESMは,求めるべき回折電磁波を散乱体のエッジ上においた仮想的な波源(等価波源)によって作られる放射電磁界で近似して表現する高周波漸近解法の1つであり,幾何光学回折理論を拡張したものです.
   
 
 
ウェーブレット解析を用いた電磁波散乱応答の処理(理論)
 
   これまで私たちの研究室では,自動車モデルなどによる電磁波散乱を等価波源法(ESM)によって解析してきました.波長に比べて物体が相対的に大きい場合に相当するいわゆる高周波の電磁波による散乱を考えた場合,ESMのような高周波漸近解法はとても有効な方法です.しかし汎用プログラムによって解析を行う場合,影領域との境界(SB)近くでの複雑な電磁波の干渉を正確に求めることは困難であり,そのような場合の数値計算上の不都合によって散乱応答の波形にインパルス状のノイズが生じてしまいます.そこで本研究では,ウェーブレットと呼ばれる波動関数を用いることによって,電磁波散乱応答に非物理的に生じるインパルス状のノイズを的確に検出し,除去する方法を検討しています.
 

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