小林研究室 卒業研究テーマとその概要

       ※この資料をダウンロードしてご覧頂けます。(末尾参照)

第1テーマ

高層ビルによるTV電波の受信障害に関する研究

高層ビル周辺の住宅地では“画像がノイズ状になる”“映らない”等、テレビの受信障害がしばしば現れています。このテーマでは、高層ビルの典型的な形状をモデル化して取り上げます。それによる電波の散乱特性を解明し、受信障害地域の予測、受信障害防止対策などに関する検討を行います。

第2テーマ

飛行物体の形状認識とレーダ断面積に関する研究

“レーダ断面積”とは、レーダから発する電波(レーダ波)が物体(標的)に入射して散乱することにより、レーダに捕えられる物体の写像を指します。

レーダ断面積はその物体に固有の特徴であり、その形状と大きく相関関係があります。このテーマでは飛行物体の典型的な形状を幾つか取り上げて、レーダ断面積に関する検討を行うことにより、物体の形状を認織する方式について研究を行っていきます。

第3テーマ

レーダ波吸収材を塗布した飛行物体による電波の散乱に関する研究

物体に「レーダ波吸収材(電波吸収体)」を塗布すると、レーダ波のもつエネルギーの多くが吸収体内部に閉じ込められるため、レーダ側では微弱信号しか受信できません。そのため、レーダ波吸収材を塗布した物体はレーダから“見えにくく”なることが知られています。

このテーマは二段階に分けています。第一に、レーダ波吸収材を塗布した飛行物体のもつレーダ断面積を検討し、レーダに捕えられにくくする方法、すなわちレーダ断面積を小さくするための方法について研究を行います。なお、完全なレーダ波吸収材は“空想の産物”で、これは現実には不可能ですので、レーダから“全く見えない”飛行物体は存在しません。これを踏まえ、第二に、レーダ波吸収材を塗布した飛行物体に電波が入射して散乱後に、レーダに戻る(受信する)微弱信号の特性より、正確に物体形状を識別するための方法について検討を行っていきます。

第4テーマ

航空機の各種基本構成要素による電波の散乱に関する研究

飛行物体の代表例として航空機(旅客機)を取り上げます。航空機は極めて複雑な形状をしているため、航空機それ自身のレーダ断面積を正確に予測するのは、一般には複雑な解析が必要です。航空機を基本構成要素に分けると、「主翼、尾翼、ジェットエンジン、胴体、ノーズ、コックピット」などの要素になります。このテーマでは、航空機を構成するこれらの要素が、各々単独に存在する場含のレーダ断面積について、詳細に解析、検討を行います。特に、ジェットエンジンの空気取入口はこの中で最もレーダに捉えられやすい、すなわちレーダ断面積が大きいとされていますので、これをモデル化した場合の検討を行います。さらに、これらの要素に「レーダ波吸収材(誘電体)」を塗布した場合、材料によるレーダ断面積の特性の違いについても、併せて検討を行います。

なお、若干の捕捉をすれば、こうして基本構成要素のレーダ断面積を正確に得られれば、結果を組み合せ、現実の航空機のレーダ断面積を予想し、航空機の形状(機種)を認識するという応用もある程度可能になっていきます。また更に検討を加えますと、航空機の機影をレーダに捕えられにくくするための具体的な形状など設計方法に応用することが考えられます。こうした応用は例えば軍用機における、レーダから“見えにくくする”目的を実現するために利用されています。

第5テーマ

各種レーダ技術に関する研究・開発動向の調査研究

レーダはその用途に応じて様々なものが開発され、進歩し続けており、実際の航空機にも応用され実装されています。このテーマでは、目的別にレーダ技術の詳細な分類を行い、各技術に関する最近の研究・開発動向について調査研究を行います。

第6テーマ

衛星搭載用リフレクタ・アンテナの設計

“リフレクタ・アンテナ”とは、適当な曲がりをもつ金属反射板を利用し、送信部からの電波を平行光線に変えて伝搬させる機能、あるいは、伝搬してきた電波を集光し、それを受信部で効率よく受ける機能をもつアンテナのことです。パラボラアンテナは、その一例です。衛星搭載用アンテナには、小型かつ軽量な設計が要求されます。このテーマでは、異なる周波数をもつ複数の信号に関する送受信を、一つのリフレタタ・アンテナを用いて行うことができるデバイスについて検討を行います。

第7テーマ

光ファイバ接続部における散乱損失に関する研究

光ファイバを用いた通信技術は、現在、広範囲に使われています。ところが長距離伝送のために複数の光ファイバを接続する場合、その接続部の軸ずれが原因となって光の散乱が生じ、エネルギーの一部が外部に放射されます。中継する回数が大きくなるに従い、損失が次第に増加していきます。このテーマでは、2本の光ファイバの接続部付近の形状に関してモデル化を行い、的ずれが生じたケースによる散乱損失のメカニズムについて検討します。

第8テーマ

高速、高精度演算のための数値計算アルゴリズムの検討

電波の散乱、回折、伝搬、放射の問題を研究する際には、しばしば、積分のような複雑かつ大規模な数値計算が要求されることがあります。このような数値計算を高速かつ高精度で行うには、目的に応じ、効率のよいアルゴリズムを開発しておく必要があります。このテーマでは、特に電磁波の諸問題に関連した各種数値計算法について検討し、高速、高精度演算のためのアルゴリズム開発を行います。また、幾つか具体的な問題を取り上げて、そのアルゴリズムの有効性、適用範囲についても検討していきます。

第9テーマ

周期状表面による電波の異常散乱に関する研究

周期的な形状をもつ表面に電波あるいは光が入射すると、“ウッドの異常回折”と呼ばれる特殊な現象が現れます。これは、電波の周波数がある特定の値になったとき、その周期状表面からの反射エネルギーが急激に増大、あるいは減衰する現象です。このテーマでは、金属からなる、代表的な周期状表面を取り上げ、ウッドの異常回折が起こる周波数付近における特異な散乱現象について検討を行います。

第10テーマ

地上の植生層内部における電波伝搬の研究

最近、“キラル媒質”と呼ばれる新しい媒質に関する研究が注目を集めています。この媒質に電波が入射すると、特殊な偏波現象が起こることが知られていますが、これは従来の電磁気学では説明のつかないものです。地上における植生層(植物の生育している層)は、一つのキラル媒質としてモデル化することができます。植生層内部を電波が伝搬すると、偏波が複雑に変化するため、レーダにより遠隔地に存在する物体の情報を調べる(これをリモートセンシングという)際、不都合が生じることがあります。このテーマでは「キラル媒質」に関するこれまでの研究動向を調査するとともに、植生層など比較的簡単にモデル化のできるキラル状物体中の電波伝搬について検討します。

第11テーマ

回折格子の特性評価・設計

ここでいう“格子(こうし)”とは、物体をある一定の周期で配列して作られる集合体のことを意味します。周期状に変化する表面をもつ板状のものも、格子の代表的な例です。格子は常にウッドの異常回折現象をもち、その形状によっては、工学上有用なフィルタ特性(低域通過型、高域通過型)、あるいは共振特性を示すことも知られています。これらは言うまでも無く、周期性をもつ形状によるものです。この性質を利用して、電波あるいは光の分野においては、数多くの共振器、分波器、フィルタ等の有効なデバイスが設計されています。本テーマでは、代表的な格子の形状を取り上げ、それらのもつ共振特性、フィルタ特性について検討します。

第12テーマ

「回折理論に関する研究」

電波、光、地震波、音波など、種々の媒質中に存在する波動の多くは、その伝搬方向に障害物が存在するとき、しばしば“回折”と呼ばれる特殊な現象を起こすことが知られています。山岳の一方の側に送信部(例えばTV局のアンテナ)があり、他方の側に受信部(例えば住宅用アンテナ)がある場合、受信側は送信側から見て影になっていますが、現実には信号を受信することができます。また、日没後、我々の目(受信側)は、太陽(送信側)から見て形の領域にありますが、しばらくは地平線付近が明るい状態が続きます。すなわち、我々には光が届いていることになります。これらの現象は、信号源(TV局のアンテナ、太陽〉からの電波あるいは光の一部が、物体(山岳、地球)の背後に回り込むために起こるもので、これを“回折”といいます。このテーマでは、回折現象の起こるメカニズムを理論的に解明します。

第13テーマ

陸上移動通信における各種技術の研究

携帯電話を代表とする陸上移動通信の分野では、例えばダイバーシティの方式など技術の積み重ねで実現されてきた歴史があり、現在でもなお、多くの進歩が見込まれる分野です。本研究では実験を始め、計算機シミュレーションなどによって、これからの新技術を担う研究を目指します。

※本テーマは外部機関で実施している内容です。(年度により対応が異なりますので、質問してください)

小林研究室 主要な研究設備について

1.   パーソナルコンピュータ

1625号室に7台設置)

全機種Corei7搭載タワー型デスクトップ(共用)です。OfficeFortranコンパイラ、数式支援ソフト(MathType)がインストールされ、1台で研究から論文作成まで行うことができます。

2.   電子黒板

カラーコピー付きホワイトボードで、ゼミ、研究討論に欠かせません。アイデアをカラー印刷したり、USBメモリへの保存、共有フォルダへ登録など、有益なツールとして重宝しています。

3.ネットワーク環境一式

Web/メール等のサーバー、および共有フォルダを構築しています。学会発表や論文誌に投稿した学術論文、数値計算プログラム、シミュレーションデータなど蓄積しており、次の研究を進めるために必要な情報、研究資産として管理しています。

4.A3カラースキャナ 1台

 A4ドキュメントスキャナ2

フラットベッドスキャナを導入しました。様々な原稿を迅速かつ高画品質で電子化できるようになりました。現在、論文のデーターベース化のほか、多用途に利用されています。

5.A3レーザープリンタ

1625号室に2台設置)

高速カラー印刷可能な機種が稼働しており、シミュレーション結果からスピーディに検証作業を行ったり、レポート印刷、研究報告書、論文作成など各方面で威力を発揮しています。

ダウンロード

 上記内容を例年、「研究室公開」にて配布しております。(PDF形式)